特集●加齢黄斑変性診療ガイドあたらしい眼科30(12):1661.1668,2013特集●加齢黄斑変性診療ガイドあたらしい眼科30(12):1661.1668,2013典型加齢黄斑変性の管理ManagementofTypicalAge-RelatedMacularDegeneration大島裕司*はじめに加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)は,欧米をはじめとした先進国において成人の失明や視力低下の主原因となっており,近年ますます増加傾向が認められている.米国における視覚障害の検討では40歳以上の白人において視力0.01未満の視力障害の原因疾患の第1位が加齢黄斑変性で54.4%と最も多く,白内障,緑内障,糖尿病網膜症による視力障害の合計よりも多いと報告されている1).わが国においても,2006年の岐阜県多治見市における多治見スタディの報告で,加齢黄斑変性は視力0.05から0.3までの視力不良者の原因疾患の第4位と報告され,厚生労働省の網膜・脈絡膜・視神経萎縮調査研究班の報告では,わが国における身体障害者視覚障害の原因疾患の第4位となっている.福岡県久山町の地域住民を対象に行われている久山町スタディでは,その有病率は1998年からの9年間で0.9%から1.3%に増加していた.9年間でのAMD発症率は1.4%(男性2.6%,女性0.8%)で,特に男性においては欧米並みの発症率で,今後もさらに患者数の増加が危惧されるところである2,3).AMDは滲出型と萎縮型に大別されるが,滲出型は脈絡膜より発生する脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)が網膜下,および神経網膜に伸展し,CNVからの出血や滲出によって視力低下を招く予後不良のタイプである.萎縮型は脈絡膜血管が透見できる円形および楕円形の網膜色素上皮の低色素,無色素および欠損部位が認められるもので,緩徐に進行し網膜萎縮に至る.現在,萎縮病巣に対する治療法はない.滲出型AMDには典型加齢黄斑変性とその特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)と網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)が含まれる.わが国を含むアジア人では欧米人に比べてPCVが多いことがよく知られているが,2007年の久山町スタディでは典型AMDの有病率は0.8%,PCVは0.4%であった.このことからも,典型AMDはやはり滲出型AMDのなかで一番多く占めていると言える.そこで,本稿では滲出型AMDのなかでも典型加齢黄斑変性の病型診断,および現在おもに行われている治療に関して述べる.I典型加齢黄斑変性の診断滲出型AMDは,脈絡膜より発生する脈絡膜新生血管(CNV)が網膜下,および神経網膜に伸展し,CNVからの出血や滲出によって視力低下を招く.典型AMDはそのなかで特殊型であるPCVやRAPを除いたものである.滲出型AMDはいくつかの病型分類があるが,その病態を蛍光眼底造影,光干渉断層計(OCT)を含めた種々の検査結果より総合的に判断して理解し,より良い治療へ結びつける必要がある.AMDの病型分類にはCNVの位置,および性状によっていくつかの臨床的分類がある.一つの病型分類としてCNVの部位による分類がある.CNVが色素上皮よ*YujiOshima:九州大学大学院医学研究院眼科学分野〔別刷請求先〕大島裕司:〒812-8582福岡市東区馬出3-1-1九州大学大学院医学研究院眼科学分野0910-1810/13/\100/頁/JCOPY(13)1661り外側,脈絡膜側にのみ存在する場合,これはI型CNVとよばれている.これに反して,CNVが色素上皮よりも神経網膜側にまで達しているものはII型CNVとよばれている.Greenらは,剖検眼を用いた検討で,I型単独が15%,II型単独は30%,I+II型の混合型が50%と報告している.フルオレセイン蛍光眼底造影の所見を基にした分類では,初期から網目状過蛍光を示し後期に旺盛な蛍光漏出を示すCNVをclassicCNV,初期には蛍光が不明瞭で後期に漏出が拡大を示すCNVをoccultCNVと分類している.おもにclassicCNVは色素上皮を超えて神経網膜内にCNVが存在するもの(いわゆるII型CNV)に多く,occultCNVはCNVが色素上皮下(I型CNV)に存在するものが多い.そのclassicCNVが病変の50%以上を占めるものをpredominantlyclassicCNV,50%未満のものをminimallyclassicCNV,まったく認めないものをoccultwithnoclassicCNVと分類する.II典型加齢黄斑変性の治療滲出型AMDのみならず,眼内血管新生には血管内皮細胞の分裂・増殖に大きな役割を果たす血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)が重要な働きをしていることが知られている.滲出型AMDの治療はその原因となっているCNVを閉塞,消退させることが目標となる.現在,わが国でおもに用いられている加齢黄斑変性の治療法は,光凝固療法,光線力学的療法(PDT)と抗VEGF療法である.光凝固療法はCNV全体を凝固する有効な治療法である.しかし正常組織にも影響がでるため,中心窩を含まないCNVが治療の適応となる.そのため適応となる症例が多くはない.PDTは,抗VEGF療法が登場するまでは,滲出型AMD治療の主流であった.PCVに対してはその有効性が知られているが,典型AMDに対しては数々の臨床研究の結果,その有効性が抗VEGF療法に劣ることが報告されており,そのため現在では抗VEGF療法が主流となっている.わが国の治療指針においても中心窩を含むCNVを伴う典型AMDは抗VEGF療法が推奨されている4).1662あたらしい眼科Vol.30,No.12,2013III抗VEGF療法血管内皮増殖因子(VEGF)は,分子量約20kDaのサブユニットが結合した2量体構造の蛋白質で,その働きは正常血管の発育や病的血管新生,血管透過性亢進に大きく関与している.VEGFにはその分子量の違いから5つのアイソフォームが存在し,眼内ではVEGF121とVEGF165がおもに産生されている.血管内皮細胞にはVEGFの受容体であるVEGFR-1とVEGFR-2が発現しているが,血管内皮細胞増殖や血管透過性亢進作用はおもにVEGFR-2を介している.VEGF165がVEGFR2とその補助受容体であるneuropilin-1と結合し,共発現させるとVEGF165によるVEGFR-2のシグナルがさらに増強し,血管内皮細胞分裂が亢進する.このため,VEGF165はVEGF121よりも強力な病的新生血管に関与していると考えられている.AMDにおいては網膜色素上皮(RPE)および周辺組織,さらにはCNVから高濃度のVEGFが分泌されていることが知られており,AMD患者の硝子体液,血清中,そして手術で摘出した網膜下新生血管膜にもVEGFが有意に多く認められている5).そこで,その血管新生の主役をなすVEGFを標的とした薬物療法が抗VEGF療法である.AMDの本態であるCNVの進行,活動性を低下させるために,そのVEGFを抑える抗VEGF薬を眼内に注射(硝子体内注射)して治療する.現在,わが国でAMDに対して用いられている抗VEGF薬はペガプタニブ(マクジェンR),ラニビズマブ(ルセンティスR),アフリベルセプト(アイリーアR)の3種である.それぞれの薬剤に対して今まで多数の臨床試験が行われ,すべてのCNVタイプでその有効性が示されている(表1).そのため,現在では典型AMDに対する初回治療では抗VEGF療法が第1選択となっている.1.ラニビズマブ(ルセンティスR)ラニビズマブは,分子量約50kDa,VEGFの中和抗体のFab断片で,ヒトVEGFに親和性を高めて創薬されている.中和抗体全長であるベバシズマブ(アバスチンR,分子量約150kDa)に比べて,分子量が小さいこ(14)表1大規模臨床研究と対象病型臨床研究名薬剤名病変CNVタイプ〔PC/MC/ONCの割合(%)〕MARINA(n=716)ラニビズマブMCおよびONC(0.1/36.9/63.0)ANCHOR(n=423)ラニビズマブPC(96.9/2.8/0.2)PIER(n=184)ラニビズマブすべてのCNVタイプ(18.0/38.6/43.0)EXTENDI(n=76)ラニビズマブすべてのCNVタイプ(24.4/41.5/34.1:0.5mggroup)ペガプタニブ国内臨床試験(n=95)ペガプタニブすべてのCNVタイプ(27.7/42.6/29.8:0.3mggroup)VIEW1&2(n=2457)アフリベルセプトすべてのCNVタイプ(26.2/35.6/37.6:2mg8週毎group)PC:predominantlyclassicCNV,MC:minimallyclassicCNV,ONC:occultwithnoclassicCNV.ともあり組織親和性が高いが,眼内半減期が短い特徴がある.わが国では2009年に認可され,臨床使用が可能となった薬剤である.使用方法は1回0.5mgを1カ月に1回,硝子体内に毎月投与する.数々の臨床試験にて最も効果が得られた初回から連続3回投与までの3カ月間を導入期とよび,その後を維持期とよぶ.海外で行われた大規模臨床試験である,MARINA試験やANCHOR試験では,毎月投与を24カ月間行い,無治療群(sham群)やPDT単独治療群に比べて有意に視力が維持され,しかも治療前のベースラインより視力改善が得られたと報告している6,7).わが国で行われたEXTEND-Iとよばれる臨床試験でも連続12カ月の投与を行い,治療前に比べて有意な視力改善が認められている8).これらの臨床試験ではラニビズマブを毎月固定投与する方法をとられているが,実際の臨床の現場では毎月投与し続けることは,患者側にも医療者側にも負担が多く,現実的には不可能に近い.そのため,3カ月ごとの固定投与が試みられた.PIER試験やEXCITE試験では導入期3回連続の後,3カ月ごとの投与を行い,無治療群や毎月治療を行った群と比較しているが,3カ月ごとの投与では無治療に比しては良好であるが導入期の視力改善効果は維持できていない9).これにより,維持期の3カ月ごとの固定投与では効果が維持できないことが示された.そこで3カ月間の導入期投与の後,維持期に毎月経過観察を行い,視力やOCT,眼底所見の変化にある一定の基準を設け悪化が認められれば投与を行うという必要時投与(prorenata:PRN)という方法がとられるようになった.この方法を用いると導入期後に得られた視力を比較的維持できたという報告が多い.よく知られている臨床研究としてPrONTO試験やSUSTAIN試験があるが,わが国でも多くの施設で用いられている手法である10,11).ラニビズマブ治療指針策定委員会により維持期における追加投与基準が作成されており,これもPRNの手法が用いられている.その基準によると,前回来院時の視力を基準としてETDRS視力検査表の文字数に換算してほぼ5文字超の悪化に相当する少数視力の視標が判別できない場合,出血あるいは滲出性変化がある場合,追加投与が推奨されるが,最終的には眼科医が総合的に判断して追加投与を決定する.わが国のラニビズマブ市販後調査における平均投与回数は治療開始1年目,年間4.5回で他の臨床研究に比べて少ないものであった.山本らは,日本人に対してもこの手法で経過観察・加療を行うと良好な経過をたどると報告している12).図1に自験例を示す.またDENALI試験やMONTBLANC試験などのラニビズマブ単独治療とラニビズマブ,PDT併用療法を比較した大規模スタディが行われているが,両試験とも併用療法の大きな有用性(治療効果および治療回数)が示されなかった13,14).よって現在は典型AMDに対しての第1選択は抗VEGF療法が推奨されている.2.ペガプタニブ(マクジェンR)ペガプタニブはVEGF165のみを選択的に阻害するアプタマー製剤で,わが国では2008年に臨床使用が可能となった,初めての加齢黄斑変性に対する抗VEGF治療薬である.使用方法は1回0.3mgを6週間に1回,(15)あたらしい眼科Vol.30,No.12,20131663治療前3カ月後11カ月後FAIAFAIAFAIA(0.3)(0.6)(0.5)51カ月後(0.5)図1典型AMDに対してラニビズマブ硝子体内投与(IVR)を行った症例82歳,男性.左)典型AMD(predominantlyclassicCNV).治療前視力は0.3,IVR3回後視力は0.6,滲出性変化は消失した.治療開始11カ月後に再発がみられ,追加投与開始.その後PRNで合計8回のIVRを施行.治療開始51カ月後に視力0.5,滲出性変化は認められていない.硝子体内投与を行う.ラニビズマブに比べて投与間隔が長く,導入期3カ月では2回の注射を行う.ペガプタニブはVEGF121には結合せず,病的血管新生を司ると言われているVEGF165のみを選択的に阻害するため,生体に対する安全性が高いと推察されていた.欧米で行われた大規模臨床試験であるVISION試験では,ペガプタニブ投与量を0.3mg,1.0mg,3.0mgと無治療(sham群)に分け1年間投与を行った.1年後に視力が維持されたのは0.3mg群で無治療に比べて有意に高かったとしている15).わが国での臨床試験の結果でも0.3mg投与で視力変化は治療前と比べて維持が認められ,その維1664あたらしい眼科Vol.30,No.12,2013持効果はほぼPDTと同等であったと推測されている.しかし,視力改善効果は認められず,治療の目標としては視力が低下するリスクを下げ,視力を維持することにとどまる16).そのため,典型AMDのすべての患者に対して初期治療第1選択となることは多くなく,心血管・脳血管イベント既往のある患者に対して第1選択となることが多い.またその安全性,視力維持効果に着目して近年では,病態が安定している患者の維持療法として用いられている.この手法の代表的な臨床研究はLEVEL試験であり,わが国でも同様の研究が行われ,LEVELJ試験とよばれている17,18).これは導入期にラニビズマ(16)FAIA8カ月後(0.5)ブ,ベバシズマブ,PDTなどにより得られた視力改善効果を維持期に6週間ごとペガプタニブを投与し視力を維持するというものである.6週ごとの投与により,合併症のリスクを減らし,安全に視力を維持することが目0.0導入維持期0.20.40.60.81.0ベースライン経過時間(週)図2ペガプタニブを用いたLEVEL.J試験での視力変化54週終了時には治療開始前に対して有意に視力改善し,比較的ベースライン視力を維持できている.p<0.001治療前に対して(pairedt-test).(文献18より)治療前(0.6)3カ月後FA(0.4)0.290.610.26*n=75平均±SElogMARW6W18W30W42W54標である.このスタディによると導入期で得られた視力が1年後に維持することが可能だったと報告している(平均logMAR視力でベースライン視力0.26が1年後に0.29)(図2).3.アフリベルセプト(アイリーアR)アフリベルセプトはVEGFの受容体(VEGFR-1およびVEGFR-2)とIg(免疫グロブリン)GのFcの融合蛋白でVEGFのすべてのアイソフォームのみならず胎盤成長因子をも抑制する.アフリベルセプトは,VEGFおよび胎盤成長因子と強固に結合し,硝子体内半減期もラニビズマブより長いことが推定されている(ラニビズマブ3.2日,アフリベルセプト4.8日).アフリベルセプトはわが国でも2012年に認可されたばかりで大規模臨床試験であるVIEW試験以外の報告はまだ少ない.VIEW試験は世界規模で2,400名以上の登録患者で行われた臨床試験で,わが国も参加している.この試験ではIA図3典型AMDに対してアフリベルセプト硝子体内投与(IVA)を行った症例59歳,男性.右)典型AMD(occultwithnoclassicCNV).治療前視力は0.6,病変は一部器質化し広範な網膜下出血を認めていた.IVA3回施行後視力は0.4,出血は消失し,滲出性変化も減少.IVA開始8カ月後視力0.5,網膜内.胞が認められる.(17)あたらしい眼科Vol.30,No.12,20131665IAIVA6カ月後(IVA4投与)(0.3)図4ラニビズマブ無反応例に対してアフリベルセプトに切り替えた症例60歳,男性.右)典型AMD(occultwithnoclassicCNV).治療前視力0.5,IVR3回終了後視力0.3,漿液性色素上皮.離(PED)はほぼ変化なかった.PRNにて維持期にIVR10回施行するも視力およびPEDはほぼ変わらず.IVR14カ月後視力0.3,IVAに切り替IVR治療前IVR3カ月後IVR14カ月後(IVR10投与)IVA切り替え時(0.5)FA(0.3)FAIA(0.3)FAIAえ,IVA4回施行後PEDは消失,視力0.3であった.アフリベルセプト(0.5mg,2mg)の効果が,ラニビズマブを対照薬として検討されている.また毎月固定投与群と,維持期に2mgアフリベルセプトを2カ月毎固定投与する群の比較も行われている.その結果,維持期におけるアフリベルセプト(2mg)の2カ月毎投与は,ラニビズマブ毎月投与に比して非劣勢が示された19).アフリベルセプトの効果に関しては今後種々の報告,研究がさらに行われると予想されるが,現時点では,ラニビズマブ同様に典型AMDに対して有効である印象である.1666あたらしい眼科Vol.30,No.12,2013また,他剤に対して耐性のために他剤が無効になった症例や他剤無反応例,特にoccultCNVに対してその有効性が報告されている20).図3,4に自験例を示す.IV維持期における管理前項でも述べたが,数々の臨床研究結果より,病状を安定させ,良好な視力を維持するためには,毎月来院,毎月固定投与が一番の方法であると推察される.しかし,これは患者側および医療者側にも負担が大きく,実(18)臨床では不可能に近い.わが国では実際にはPRNによる追加投与が主流である.PRNでは,毎月投与に比べて治療成績が劣ることはよく知られている.しかし,CATT試験やHARBOR試験のようなPRNと毎月投与を比較した臨床試験では,経過観察時に厳密な管理を行えばPRNでもやや劣るものの比較的良好な結果を得ている.そのためには必然的に投与回数は増加する傾向がある.実際,これらの試験での投与回数はわが国の実臨床PRNに比べて多数回必要であった(初年度年間投与回数,CATT:PRN6.9回,毎月投与11.7回,HARBOR:PRN7.7回,毎月投与11.3回)21,22).アフリベルセプトに関しては,VIEW試験で維持期における2カ月毎の固定投与が毎月投与に比べて非劣勢が示されているが,実臨床での維持期の経過や治療方針に関してはまだ不明な点も多く,今後の研究結果が待たれるところである.近年,欧米ではTreatandExtendという管理を行う施設が増えてきている.これは,初期治療にて滲出性変化の改善が得られた後,来院間隔を少しずつ延長し,滲出性変化がない状態でも投与を行い,さらに来院間隔を延ばすという方法である.もし,滲出性変化が認められたときには投与を行うのはもちろんであるが,来院間隔の延長は行わない.これは滲出性変化が出る前に投与を行うという,病態がproactiveな状態で投与・管理を行う方法で,この手法を用いると良好な結果を維持できると報告されている23,24).しかし,一定のプロトコールなどがなく,今後の結果が待たれるところである.おわりに加齢黄斑変性は,抗VEGF薬の登場により視力維持が可能な疾患となってきている.特に典型AMDに対しての治療は,抗VEGF療法が第1選択である.視力予後を考えると定期的にproactiveな状態で投与するほうが良好な結果が得られる可能性が高いが,投与回数の増加に伴い,局所的および全身的合併症のリスクが増加することも懸念しなければならない.われわれ眼科医は,患者個々人の病態を適切に把握し,治療タイミングの選択,および治療のベネフィットと合併症などのリスクや経済的背景を考慮し治療を行わなければならない.(19)文献1)CongdonN,O’ColmainB,KlaverCCWetal:CausesandprevalenceofvisualimpairmentamongadultsintheUnitedStates.ArchOphthalmol122:477-485,20042)OshimaY,IshibashiT,MurataTetal:PrevalenceofagerelatedmaculopathyinarepresentativeJapanesepopulation:theHisayamastudy.BrJOphthalmol85:11531157,20013)MiyazakiM,KiyoharaY,YoshidaAetal:The5-yearincidenceandriskfactorsforage-relatedmaculopathyinageneralJapanesepopulation:theHisayamastudy.InvestOphthalmolVisSci46:1907-1910,20054)髙橋寛二,小椋祐一郎,石橋達朗ほか:加齢黄斑変性の治療方針.日眼会誌116:1150-1155,20125)KliffenM,SharmaHS,MooyCMetal:Increasedexpressionofangiogenicgrowthfactorsinage-relatedmaculopathy.BrJOphthalmol81:154-162,19976)RosenfeldPJ,BrownDM,HeierJSetal:Ranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1419-1431,20067)KaiserPK,BrownDM,ZhangKetal:Ranibizumabforpredominantlyclassicneovascularage-relatedmaculardegeneration:subgroupanalysisoffirst-yearANCHORresults.AmJOphthalmol144:850-857,20078)TanoY,OhjiM,EXTEND-IStudyGroup:EXTEND-I:safetyandefficacyofranibizumabinJapanesepatientswithsubfovealchoroidalneovascularizationsecondarytoage-relatedmaculardegeneration.ActaOphthalmol88:309-316,20109)AbrahamP,YueH,WilsonL:Randomized,double-masked,sham-controlledtrialofranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration:PIERstudyyear2.AmJOphthalmol150:315-324.el,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