監修=大橋裕一連載⑨MyboomMyboom第9回「石川浩平」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す連載⑨MyboomMyboom第9回「石川浩平」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す自己紹介石川浩平(いしかわ・こうへい)医療法人社団浩陽会石川眼科医院私は,平成10年岩手医科大学を卒業,2年間母校の麻酔科で研修,麻酔科標榜医を取得後,平成12年に名古屋大学眼科学教室に入局,2年前までの10年間,一度も大学を出ることなく過ごしてきた変わり種です.現在は出身地の静岡で開業医をやっています.中学の頃からテニスに没頭する毎日で,中学では軟式,高校,大学では硬式テニスをやっていました.医者になってからはゴルフにはまる,ありがちな感じですが,最近10年以上のブランクを経て,テニス界に復帰したので,それについても少し触れたいと思います.仕事のmyboom私は,名古屋大学時代は一貫して加齢黄斑変性治療の臨床研究に取り組んできました.笑い話ですが,私の師匠である寺崎浩子教授には「石川君にかかると黄斑円孔も加齢黄斑変性になっちゃうからねー.」なんてことも言われたりしました.これは,私が的確に病気を診断できなかったときの一言で,苦い思い出です.それぐらい加齢黄斑変性一辺倒でした.ライフワークとしたのは薬剤,すなわちラニビズマブやトリアムシノロンを併用した光線力学的療法です.最近ではラニビズマブを硝子体内注射することがゴールデンスタンダードとなりましたが,加齢黄斑変性に携わっている先生方は日々悲鳴をあげながら大量の注射を行い,加齢黄斑変性になってしま(65)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY〔写真1〕若かりし頃(被験者モデルは今は大先生です)った患者さんは精神的にも,金銭的にも大変な思いをして注射治療を続けています.私はラニビズマブなどの薬剤による治療に,光線力学的療法を併用することにより,良好な治療効果を得ながらも,治療回数を減らすということに,現在ある程度の手ごたえを得ました.特に,患者さんが高齢であったり(加齢黄斑変性の患者さんは多くは高齢ですが),病院が遠方であったりで頻回の通院が困難である場合に威力を発揮しますし,しばらく通院しなくていいという,患者さんの心の余裕,安堵感につながります.やはり,加齢黄斑変性治療は今でもmyboomです.それでは,最近のもう一つのmyboomですが,それは前向きの医療です.とはいっても,まだ十分な知識を身につけたわけではありませんが,これから勉強をしたいという意気込みで,早速,日本抗加齢医学会に入会しました.私はこれまで,加齢黄斑変性の患者さんにサプリメントを勧めてきましたが,その知識は製薬会社さんからいただいたパンフレットによる程度の知識で,さらにそのサプリメントについて深く知ろうとはしていませあたらしい眼科Vol.29,No.10,20121381んでした.最近,ひょんなことから,前向きの医療に情熱を燃やし,自分も成長していこうと努力している方を知りました.その方は「私たちは,世の中のみなさんが病気にならないように努力しますから,それでも病気になってしまったら先生の出番です.」と言われました.その言葉に大きな感銘を受けて,私もこれまでは病気になってしまった,加齢黄斑変性になってしまった多くの患者さんを治療してきましたが,そうならないようにするにはどうすればいいか知識を深めたいと思いました.Myboomというより,これからmyboomにする予定のテーマでした.趣味のmyboomゴルフが好きな眼科医はたくさんいるので,ここでゴルフについて書くのは難しいなと思っていたのですが,最近おもしろい理論をもったゴルフの先生に出会い,はまっているので書きたいと思います.その先生のホームページから引用させていただきますが,「ゴルフが上手くなるには…ゴルフが上手くなるにはまずスイングの形を考えてはいけません.スイングの形を強制したり,上手い人の真似をしたりしても決して上手くはなれません.世の中,ゴルフ界にはそういった志向がはびこっています.トップの位置を真似すれば,ヘッドアップしなければ,肩を回せば上手くなるんじゃないかと….」と言っています.これじゃ,何のことかわからないかもしれませんけど,私がフィットしたのは,「狙った場所に球を運ぶ」=「目標方向の真後ろからベクトルを加える」すなわち,インパクトだけに集中する,という教えでした.もうひとつ衝撃的だったのが「ゴルフと女性との付き合いはとても似ていて,あんまり入れ込みすぎると逃げていくので,久しぶりにクラブに触れたなーぐらいの感じでプレイするといいですよ,ラウンドの前日,当日朝はボールは打たなくていいですよ.」なんていう,今までにない言葉でした.もちろん,すぐにプロ級になるわけではありませんが,これまでとは全く違う感覚でゴルフと向き合えるようになった気がします,気のせいかもしれませんが.1382あたらしい眼科Vol.29,No.10,2012〔写真2〕アンディ・マレーのつもりまた,冒頭にも書きましたように私は学生時代ずっとテニスをしていました.よく「テニスをしてきたからゴルフはスライスしやすいんだよ.」なんていう話を聞きますが,私の先生は「ゴルフもテニスと同じように打てばいいんだよ,例えばドライバーはトップスピン,グリーン周りのアプローチもトップスピン,バンカーショットはボレーだよ.」なんて言うんです.テニスをしたことのない人にはわかりにくいかもしれませんが,私にとっては目からうろこでした.そのおかげか,ここ2年ほど不振にあえいでいましたが,ようやく復活の兆しが見えてきました.最後に復活ときましたので,10年のブランクを経て復活したテニスについて一言….とっても楽しいのですが,悲しいかなびっくりするぐらい足が動きません.ロンドンオリンピック,テニスで優勝したアンディ・マレーを真似したウエアまで着て気合いは入っていますが,プレイを真似すると散々です.テニスもmyboomといいたいところですが,このような有り様のテニスを続けていけるのか心配である今日この頃です.次回のプレゼンターは三重の大澤俊介先生(岡波総合病院)です.忍者の里である伊賀で華麗なる手術を行う,尊敬する先生で,myboomも相当華麗であると期待しています.よろしくお願いします.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(66)