特集●OCTを読むあたらしい眼科31(12):1779.1788,2014特集●OCTを読むあたらしい眼科31(12):1779.1788,2014加齢黄斑変性の「OCTを読む」InterpretationofOpticalCoherenceTomographyinExudativeAge-RelatedMacularDegeneration永井由巳*はじめに加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)は近年の検査や治療法の進歩に伴い,受診者数が大きく増加している.従来は,診断を行ううえでフルオレセイン蛍光造影(fluoresceinangiography:FA)やインドシアニングリーン蛍光造影(indocyaninegreenangiography:IA)などを頻繁に行っていたが,1997年にわが国に光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)が導入されてより正確な診断を行えるようになった.OCTは導入以降今日に至るまでの間に画像の解像度が目覚ましく進歩し,短時間で詳細な画像所見を得ることが可能となったこともあり,侵襲性の強いFAやIAを行わなくてもOCTの画像だけで病態の把握や診断が可能な症例も多くなった.また,以前は治療後の経過の観察を行ううえでもFAやIAを必要時に行っていたが,OCTで治療後の病態の判断が可能となったので,高齢者が多いAMD診療においてOCTは欠かすことのできない検査となっている.〔AMDの病型分類とOCT所見〕AMDは2008年に作成された「加齢黄斑変性の分類と診断基準1)」に沿って診断,治療が行われており,この分類(表1)と診断基準(表2)に沿って画像所見の特徴と読影のポイントを述べる.表1加齢黄斑変性の分類1.前駆病変1)軟性ドルーゼン2)網膜色素上皮異常2.加齢黄斑変性1)滲出型加齢黄斑変性*2)萎縮型加齢黄斑変性*滲出型加齢黄斑変性の特殊型①ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)②網膜内血管腫状増殖(RAP)〔文献1)より〕I前駆病変前駆病変は,軟性ドルーゼンと網膜色素上皮異常とが挙げられている.1.軟性ドルーゼン軟性ドルーゼンは加齢変化により眼底に生じる小さな黄白色の円形病巣で,慢性炎症,酸化ストレス,遺伝的素因などが発症に関与するとされている.診断基準上は63μm以上のものが1個でもみられる場合は前駆症状とするとされている1)(これより小さいと硬性ドルーゼンとされている).診断の際には,網膜静脈径が視神経乳頭縁では125μmであることを参考にする.OCTで軟性ドルーゼンは網膜色素上皮とBruch膜との間にみられ,網膜内側へ隆起した状態で観察される.内部の反射は中等度から高輝度を示すものまでさまざまである(図1).*YoshimiNagai:関西医科大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕永井由巳:〒573-0101枚方市新町2-5-1関西医科大学医学部眼科学教室0910-1810/14/\100/頁/JCOPY(41)1779表2加齢黄斑変性(AMD)の診断基準年齢50歳以上の症例において,中心窩を中心とする直径6,000μm以内の領域に以下の病変がみられる.1.前駆病変軟性ドルーゼン,網膜色素上皮異常2.滲出型加齢黄斑変性主要所見:以下の主要所見の少なくとも1つを満たすものを確診例とする.①脈絡膜新生血管②漿液性網膜色素上皮.離③出血性網膜色素上皮.離④線維性瘢痕随伴所見:以下の所見を伴うことが多い①滲出性変化:網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン)硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜.離②網膜または網膜下出血※滲出型加齢黄斑変性の特殊型:ポリープ状脈絡膜血管症(PCV),網膜内血管腫状増殖(RAP)3.萎縮型加齢黄斑変性脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界鮮明な地図状萎縮を伴う4.除外規定近視,炎症性疾患,変性疾患,外傷などによる病変を除外する付記*1軟性ドルーゼンは直径63μm以上のものが1個以上みられれば有意とする.*2網膜色素上皮異常とは網膜色素上皮の色素脱失,色素沈着,色素むら,小型の漿液性網膜色素上皮.離(直径1乳頭未満)をさす.*3脈絡膜新生血管は,検眼鏡所見,蛍光眼底造影によって診断する.検眼鏡所見として,網膜下に灰白色または橙赤色隆起病巣を認める.蛍光眼底造影はフルオレセイン蛍光眼底造影またはインドシアニングリーン蛍光眼底造影所見に基づく.*4漿液性網膜色素上皮.離は,直径1乳頭径以上のもので脈絡膜新生血管を伴わないものも含める.*5出血性網膜色素上皮.離は大きさを問わない.*6網膜色素上皮の地図状萎縮は大きさを問わない〔文献1)より〕あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141781(43)2.滲出型加齢黄斑変性(exudativeAMD:滲出型AMD)滲出型AMDは,その主要所見として,脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV),漿液性網膜色素上皮.離,出血性網膜色素上皮.離,線維性瘢痕が挙げられていて,そのうち1つでも認めたら確診例とできる1).この滲出型AMDのなかには,その特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopa-thy:PCV)と網膜内血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)とが含まれており,それ以外のものを典型加齢黄斑変性(典型AMD)とよんで区別している.滲出型AMDの4つの主要所見と,診断基準における随伴所見(滲出性変化としてみられる網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン),硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜.離と,網膜または網膜下出血)とについて典型AMDの項目で説明し,特殊型の項目でそれぞれの疾患でみられる特徴的な所見について説明する.a.典型加齢黄斑変性(典型AMD)1)脈絡膜新生血管滲出型AMDの主要所見のなかでも重要視されているのがCNVである.CNVは網膜色素上皮を境にその上II加齢黄斑変性1.萎縮型加齢黄斑変性(atrophicAMD:萎縮型AMD)日本人では10%程度とされている萎縮型AMDは,脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界鮮明な地図状萎縮を伴うものとされており,その地図上萎縮は大きさを問わないと定義されている1).OCTでは,地図上萎縮の部における網膜色素上皮の高反射層の菲薄化を認め,視細胞内節外節接合部(IS/OSline)が欠損していたり感覚網膜厚も菲薄化していたりすることもある(図3).abcd図1軟性ドルーゼンa:眼底写真.黄斑部に黄白色の軟性ドルーゼンが集積し,一部癒合している.矯正視力は0.3.b:FA.軟性ドルーゼンは淡い過蛍光を示す.蛍光漏出は認めない.c:OCT(垂直断).軟性ドルーゼンが多発しており,その部の網膜色素上皮は波打ったようなラインとなる.d:OCT(cの赤枠部の拡大).軟性ドルーゼンは網膜色素上皮とBruch膜との間にあって,内部は均一な中等度反射を示す(矢印).軟性ドルーゼンの基底部にBruch膜の水平ラインがみられる.網膜色素上皮,IS/OSライン,外境界膜は波打っているが断裂は認めない.abc図2Reticularpseudodrusena:眼底写真.黄斑部の耳側に多数のreticularpseudodrusenが均一で小さな黄白色斑として認められる.b:OCT.網膜色素上皮よりも網膜側に突出するような形で沈着する像をretic-ularpseudodrusenは示す.c:OCT(bの赤枠部の拡大).Reticularpseudodrusenは,均一な高反射を示す.abcd図1軟性ドルーゼンa:眼底写真.黄斑部に黄白色の軟性ドルーゼンが集積し,一部癒合している.矯正視力は0.3.b:FA.軟性ドルーゼンは淡い過蛍光を示す.蛍光漏出は認めない.c:OCT(垂直断).軟性ドルーゼンが多発しており,その部の網膜色素上皮は波打ったようなラインとなる.d:OCT(cの赤枠部の拡大).軟性ドルーゼンは網膜色素上皮とBruch膜との間にあって,内部は均一な中等度反射を示す(矢印).軟性ドルーゼンの基底部にBruch膜の水平ラインがみられる.網膜色素上皮,IS/OSライン,外境界膜は波打っているが断裂は認めない.abc図2Reticularpseudodrusena:眼底写真.黄斑部の耳側に多数のreticularpseudodrusenが均一で小さな黄白色斑として認められる.b:OCT.網膜色素上皮よりも網膜側に突出するような形で沈着する像をretic-ularpseudodrusenは示す.c:OCT(bの赤枠部の拡大).Reticularpseudodrusenは,均一な高反射を示す.1782あたらしい眼科Vol.31,No.12,2014(44)OCTでは,Type1CNVは扁平で不整に隆起した網膜色素上皮とBruch膜との間で中等度の反射を示し,網膜色素上皮とBruch膜の2本のラインから,後述のPCV(ポリープ状脈絡膜血管症)でよく用いられているdoublelayersignを呈する(図4).Type2CNVは,網膜色素上皮よりも上の感覚網膜下あるいは感覚網膜内に高反射塊として描出され,時に明瞭な網膜色素上皮の下(感覚網膜下か網膜色素上皮下)どちらかに広がるか,あるいは上下両方にみられる症例もある.病理組織学的には,網膜色素上皮の下にみられるCNVはGass分類I型(Type1CNV),網膜色素上皮の上に広がるCNVはGass分類II型(Type2CNV)としている3).臨床ではType1CNVやType1+2CNVの症例が多く,純粋なType2CNVのみの症例は頻度としては少ない4).abcd図3萎縮型加齢黄斑変性a:眼底写真.網膜色素上皮の地図状萎縮病巣を認める.b:FA後期(6分).地図状萎縮病巣の部は境界鮮明なwindowdefectによる過蛍光を示している.c:IA晩期(18分).地図状萎縮の部は脈絡膜毛細管板の萎縮のため境界鮮明な低蛍光を示し,脈絡膜中大血管を透見できる.d:OCT(水平断).黄斑部の網膜厚は菲薄化し,中心窩付近では網膜外層は萎縮している.萎縮した部は,網膜色素上皮萎縮により深部反射が亢進し脈絡膜の輝度が高くなっている.abcde図4滲出型加齢黄斑変性(典型AMD;Type1CNV)a:眼底写真.黄斑部に中心窩からやや耳下側にかけて網膜色素上皮の変性を認める.矯正視力は0.8.b:FA後期(6分).網膜色素上皮変性部がわずかな蛍光漏出を伴う淡い過蛍光を認める.c:IA晩期(30分).FAで過蛍光を示した部(矢印)に淡い過蛍光を認める(plaque).d:OCT(水平断).中心窩下に網膜色素上皮の不整な隆起を認め(矢印,内部は中等度反射を示し,Type1CNVの存在を示唆する.隆起した網膜色素上皮基底部にはBruch膜を認める.e:OCT(垂直断).水平断と同様,内部が中等度反射を示す網膜色素上皮の隆起を認める.水平断でも認めているが,太矢印で示す中心窩を含む漿液性網膜.離を認める.感覚網膜の層構造はIS/OSラインを含め保たれているので,矯正視力は0.8と比較的良好である.abcd図3萎縮型加齢黄斑変性a:眼底写真.網膜色素上皮の地図状萎縮病巣を認める.b:FA後期(6分).地図状萎縮病巣の部は境界鮮明なwindowdefectによる過蛍光を示している.c:IA晩期(18分).地図状萎縮の部は脈絡膜毛細管板の萎縮のため境界鮮明な低蛍光を示し,脈絡膜中大血管を透見できる.d:OCT(水平断).黄斑部の網膜厚は菲薄化し,中心窩付近では網膜外層は萎縮している.萎縮した部は,網膜色素上皮萎縮により深部反射が亢進し脈絡膜の輝度が高くなっている.abcde図4滲出型加齢黄斑変性(典型AMD;Type1CNV)a:眼底写真.黄斑部に中心窩からやや耳下側にかけて網膜色素上皮の変性を認める.矯正視力は0.8.b:FA後期(6分).網膜色素上皮変性部がわずかな蛍光漏出を伴う淡い過蛍光を認める.c:IA晩期(30分).FAで過蛍光を示した部(矢印)に淡い過蛍光を認める(plaque).d:OCT(水平断).中心窩下に網膜色素上皮の不整な隆起を認め(矢印,内部は中等度反射を示し,Type1CNVの存在を示唆する.隆起した網膜色素上皮基底部にはBruch膜を認める.e:OCT(垂直断).水平断と同様,内部が中等度反射を示す網膜色素上皮の隆起を認める.水平断でも認めているが,太矢印で示す中心窩を含む漿液性網膜.離を認める.感覚網膜の層構造はIS/OSラインを含め保たれているので,矯正視力は0.8と比較的良好である.あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141783(45)2)漿液性網膜色素上皮.離滲出型AMDの主要所見として定められている漿液性網膜色素上皮.離は,1乳頭径以上の大きさとされており,CNVの有無は問わない.1乳頭未満のものはAMDの前駆病変として扱う.断裂を認めることもある(図5).一番頻度の多いType1+2CNVでは,Type1と2のそれぞれの特徴をみることもあるが,病巣が大きくなり,また網膜色素上皮を挟んで上下に重なることなどから,網膜色素上皮のラインやType1CNVの反射を捉えにくくなることも多い.abcde図5滲出型加齢黄斑変性(典型AMD;Type2CNV)a:眼底写真.黄斑部に網膜下出血を伴う灰白色病巣を認める.矯正視力は0.2.b:FA早期(30秒).早期から灰白色病変の部に境界鮮明な過蛍光を認める.c:IA晩期(19分).FAで認めた過蛍光域に早期から境界明瞭な網目状血管を認め,時間とともに周囲に低蛍光輪(darkrim)を伴う過蛍光を認める.d:OCT(水平断).網膜色素上皮よりも上側に高反射塊を認める(矢印).e:OCT(垂直面).水平断と同様,網膜色素上皮の上側に高反射塊を認め(矢印),太矢印の部で網膜色素上皮の断裂を認める.abcde図6漿液性網膜色素上皮.離a:眼底写真.2乳頭径大のドーム状の網膜色素上皮.離を認める.矯正視力は0.8.b:FA早期(30秒).早期から網膜色素上皮は境界鮮明な均一な過蛍光を示す.c:FA後期(6分).網膜色素上皮の過蛍光は時間の経過とともに増強する.矢印の部に網膜色素上皮障害による過蛍光を認める.d:IA晩期(27分).網膜色素上皮.離は造影全期間を通して低蛍光を示す.FA後期の過蛍光部はIAでplaque形成を認めずCNVは認めなかった.e:OCT(水平断).太矢印で示す内部が低反射を示す網膜色素上皮のドーム状隆起を認めた.網膜色素上皮.離の縁(矢印)部には網膜色素上皮がやや不整となっており,今後CNVの発生に注意を要する箇所である.abcde図5滲出型加齢黄斑変性(典型AMD;Type2CNV)a:眼底写真.黄斑部に網膜下出血を伴う灰白色病巣を認める.矯正視力は0.2.b:FA早期(30秒).早期から灰白色病変の部に境界鮮明な過蛍光を認める.c:IA晩期(19分).FAで認めた過蛍光域に早期から境界明瞭な網目状血管を認め,時間とともに周囲に低蛍光輪(darkrim)を伴う過蛍光を認める.d:OCT(水平断).網膜色素上皮よりも上側に高反射塊を認める(矢印).e:OCT(垂直面).水平断と同様,網膜色素上皮の上側に高反射塊を認め(矢印),太矢印の部で網膜色素上皮の断裂を認める.abcde図6漿液性網膜色素上皮.離a:眼底写真.2乳頭径大のドーム状の網膜色素上皮.離を認める.矯正視力は0.8.b:FA早期(30秒).早期から網膜色素上皮は境界鮮明な均一な過蛍光を示す.c:FA後期(6分).網膜色素上皮の過蛍光は時間の経過とともに増強する.矢印の部に網膜色素上皮障害による過蛍光を認める.d:IA晩期(27分).網膜色素上皮.離は造影全期間を通して低蛍光を示す.FA後期の過蛍光部はIAでplaque形成を認めずCNVは認めなかった.e:OCT(水平断).太矢印で示す内部が低反射を示す網膜色素上皮のドーム状隆起を認めた.網膜色素上皮.離の縁(矢印)部には網膜色素上皮がやや不整となっており,今後CNVの発生に注意を要する箇所である.1784あたらしい眼科Vol.31,No.12,2014(46)b.ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)PCVは網膜色素上皮下に広がる異常血管網と,その先端にポリープ状病巣を形成する滲出型AMDの特殊型で,日本人の滲出型AMDに占める割合が高い5,6).ポリープ状病巣も網膜色素上皮とBruch膜との間に存在すると考えられている7).OCTでは,ポリープ状病巣は網膜色素状の急峻な立ち上がりを特徴としており,内部は充満する血管のために充実性の高反射を示すことが多い.異常血管網は,網膜色素上皮とその下のBruch膜との間に中等度の反射として認められることが多く,この網膜色素上皮とBruch膜のラインが2本並んでいることから,doublelayersignという呼び方をされている8)(図7).元々,PCVのOCTの読影で用いられてきたが,最近はOCTがspectraldomainとなって解像度が良くなっており,前述の典型AMDにおけるType1CNVも同じような所見を呈している.このようなPCVとType1CNVの区別がむずかしい場合,PCVでは脈絡膜が肥厚していることが多く(図8),診断の参考となることも報告されている9).ポリープ状病巣からの漏出が強くフィブリンや網膜下出血に覆われている場合,眼底検査で橙赤色病巣を認められないことが多いが,OCTでは網膜内のフィブリンや出血の反射の下に急峻な立ち上がりを示すポリープ状病巣を検出することができることがある(図9).このような強いフィブリンの析出を伴うポリープ状病巣は透過性亢進病巣と呼び,当科におけるPCVにおいて12%の症例に認められた.c.網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)RAPは網膜内血管由来の新生血管が生じて滲出性所見を呈する滲出型AMDの特殊型で,2001年にYan-nuzziによって提唱された10).YannuzziらはRAPをstage1.3に病期分類しており9),下記に述べるように,その病期によって眼底やOCTの所見にも違いを認める.また,YannuzziやFreundらは,RAPの新生血管をGass分類のI型,II型に加える形でIII型(Type3neo-vascularization)としている11,12).Gassは,網膜由来のOCTでは,内部反射の低い網膜色素上皮のドーム状隆起として認め,網膜色素上皮.離の基底部にBruch膜を認めることが多い.経過の長い網膜色素上皮.離では網膜色素上皮の重層化や内部反射の輝度が高くなるものもある(図6).3)出血性網膜色素上皮.離出血性網膜色素上皮.離については大きさを問わず,認めたときには滲出性AMDと診断してよい主要所見の一項目である.OCTでは漿液性網膜色素上皮.離と同様,網膜色素上皮のドーム状隆起として認められるが,内部の反射は出血による血液成分のため高反射となる.4)線維性瘢痕線維性瘢痕は滲出性AMDの終末像であり,疾患としての活動性は認めない状態であるが,主要所見の一つとされている.OCTでは,瘢痕組織の部は高反射を示す.5)AMDの随伴所見(滲出性所見,網膜または網膜下出血)滲出型AMDでよくみられる所見のなかで,網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン),硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜.離などの滲出性所見と,網膜または網膜下出血も診断基準では随伴所見とされている.これらの所見は,疾患の活動性に伴って生じる所見なので,診断時に認めていた所見も治療後に活動性が鎮静化するにつれて消失する.それゆえに,AMDの治療効果の判定にはOCTの所見を参考にすることが一般的になり,以前のようにFAやIAを頻繁に行わなくなった.OCTにおける所見としては,網膜下フィブリン(網膜下灰白色斑)は均一な中等度.高反射を示し,硬性白斑は網膜内の境界明瞭な高反射として描出され,その下部の陰影が減衰する.網膜浮腫はびまん性浮腫から.胞様黄斑浮腫の形態を示し,漿液性網膜.離は網膜色素上皮と感覚網膜層との間に低反射の間隙を認める.網膜出血は出血の程度によって輝度は変わるが,基本的には高反射を示すことが多い.造影検査でブロックによってCNVを含めて詳細が不鮮明なときでも,OCTでCNVやポリープを観察できることも多い.にBruch膜を認めることが多い.経過の長い網膜色素上皮.離では網膜色素上皮の重層化や内部反射の輝度が高くなるものもある(図6).3)出血性網膜色素上皮.離出血性網膜色素上皮.離については大きさを問わず,認めたときには滲出性AMDと診断してよい主要所見の一項目である.OCTでは漿液性網膜色素上皮.離と同様,網膜色素上皮のドーム状隆起として認められるが,内部の反射は出血による血液成分のため高反射となる.4)線維性瘢痕線維性瘢痕は滲出性AMDの終末像であり,疾患としての活動性は認めない状態であるが,主要所見の一つとされている.OCTでは,瘢痕組織の部は高反射を示す.5)AMDの随伴所見(滲出性所見,網膜または網膜下出血)滲出型AMDでよくみられる所見のなかで,網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン),硬性白斑,網膜浮腫,漿液性網膜.離などの滲出性所見と,網膜または網膜下出血も診断基準では随伴所見とされている.これらの所見は,疾患の活動性に伴って生じる所見なので,診断時に認めていた所見も治療後に活動性が鎮静化するにつれて消失する.それゆえに,AMDの治療効果の判定にはOCTの所見を参考にすることが一般的になり,以前のようにFAやIAを頻繁に行わなくなった.OCTにおける所見としては,網膜下フィブリン(網膜下灰白色斑)は均一な中等度.高反射を示し,硬性白斑は網膜内の境界明瞭な高反射として描出され,その下部の陰影が減衰する.網膜浮腫はびまん性浮腫から.胞様黄斑浮腫の形態を示し,漿液性網膜.離は網膜色素上皮と感覚網膜層との間に低反射の間隙を認める.網膜出血は出血の程度によって輝度は変わるが,基本的には高反射を示すことが多い.造影検査でブロックによってCNVを含めて詳細が不鮮明なときでも,OCTでCNVやポリープを観察できることも多い.1784あたらしい眼科Vol.31,No.12,2014b.ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)PCVは網膜色素上皮下に広がる異常血管網と,その先端にポリープ状病巣を形成する滲出型AMDの特殊型で,日本人の滲出型AMDに占める割合が高い5,6).ポリープ状病巣も網膜色素上皮とBruch膜との間に存在すると考えられている7).OCTでは,ポリープ状病巣は網膜色素状の急峻な立ち上がりを特徴としており,内部は充満する血管のために充実性の高反射を示すことが多い.異常血管網は,網膜色素上皮とその下のBruch膜との間に中等度の反射として認められることが多く,この網膜色素上皮とBruch膜のラインが2本並んでいることから,doublelayersignという呼び方をされている8)(図7).元々,PCVのOCTの読影で用いられてきたが,最近はOCTがspectraldomainとなって解像度が良くなっており,前述の典型AMDにおけるType1CNVも同じような所見を呈している.このようなPCVとType1CNVの区別がむずかしい場合,PCVでは脈絡膜が肥厚していることが多く(図8),診断の参考となることも報告されている9).ポリープ状病巣からの漏出が強くフィブリンや網膜下出血に覆われている場合,眼底検査で橙赤色病巣を認められないことが多いが,OCTでは網膜内のフィブリンや出血の反射の下に急峻な立ち上がりを示すポリープ状病巣を検出することができることがある(図9).このような強いフィブリンの析出を伴うポリープ状病巣は透過性亢進病巣と呼び,当科におけるPCVにおいて12%の症例に認められた.c.網膜血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)RAPは網膜内血管由来の新生血管が生じて滲出性所見を呈する滲出型AMDの特殊型で,2001年にYannuzziによって提唱された10).YannuzziらはRAPをstage1.3に病期分類しており9),下記に述べるように,その病期によって眼底やOCTの所見にも違いを認める.また,YannuzziやFreundらは,RAPの新生血管をGass分類のI型,II型に加える形でIII型(Type3neovascularization)としている11,12).Gassは,網膜由来の(46)あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141785(47)新生血管とは異なりstage1の段階でCNVが存在するという考え方を提唱している13)が,現在はRAPが網膜内新生血管由来であると考えられている.Stage1はRAPの極初期の段階で,網膜内新生血管を認め,視力は良好でも網膜内層に.胞浮腫を認めることが多い.OCTでも網膜内新生血管の高反射とその周囲の.胞浮腫を認める(図10).ただし,比較的視力が良いことが多く,stage1の段階で受診する人は少ない.Stage2は,網膜内新生血管が網膜外層のほうへ伸展し,OCTでは中等度.高反射の反射塊として描出されabcde※図7ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)a:眼底写真.黄斑部の鼻上側に網膜下出血を伴う小さな橙赤色病巣を認める,矯正視力は0.9.b:FA後期(5分).橙赤色病巣の部は円形過蛍光を示し,すぐ鼻側の網膜下出血はブロック効果で低蛍光を示している.円形過蛍光部のすぐ耳側に網膜色素上皮の障害によると考えられる淡い過蛍光を示している.c:IA晩期(18分).FAで示した円形過蛍光はポリープ状の過蛍光を示し,耳側には異常血管網によると考えられる淡い過蛍光を示している(plaque).d:OCT(異常血管網部).FA,IAで異常血管網を示唆した部は,網膜色素上皮が不整に隆起し,内部は中等度反射を示している(※印).e:OCT(ポリープ状病巣部).ポリープ状病巣の部は,網膜色素上皮急峻な立ち上がりがみられ,内部は中等度.高反射を示す(矢印).ポリープ状病巣の周囲には漿液性網膜.離を認める.abc※図8ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)a:眼底写真.黄斑部の耳側に網膜下出血を認め,網膜色素上皮の変性も中心窩を含んで広汎に認める.矯正視力は0.2.b:IA(17分).複数のポリープ状過蛍光を認め,その黄斑部側には淡いplaque様過蛍光を認める(異常血管網).c:OCT(水平断).ポリープは網膜色素上皮の急峻な立ち上がりを示し(矢印),異常血管網の部(※印)は不整な網膜色素上皮の隆起によりdoublelayersignを示している.この症例では脈絡膜の中大血管がやや太く拡張し脈絡膜厚も厚くなっている.abcde※図7ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)a:眼底写真.黄斑部の鼻上側に網膜下出血を伴う小さな橙赤色病巣を認める,矯正視力は0.9.b:FA後期(5分).橙赤色病巣の部は円形過蛍光を示し,すぐ鼻側の網膜下出血はブロック効果で低蛍光を示している.円形過蛍光部のすぐ耳側に網膜色素上皮の障害によると考えられる淡い過蛍光を示している.c:IA晩期(18分).FAで示した円形過蛍光はポリープ状の過蛍光を示し,耳側には異常血管網によると考えられる淡い過蛍光を示している(plaque).d:OCT(異常血管網部).FA,IAで異常血管網を示唆した部は,網膜色素上皮が不整に隆起し,内部は中等度反射を示している(※印).e:OCT(ポリープ状病巣部).ポリープ状病巣の部は,網膜色素上皮急峻な立ち上がりがみられ,内部は中等度.高反射を示す(矢印).ポリープ状病巣の周囲には漿液性網膜.離を認める.abc※図8ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)a:眼底写真.黄斑部の耳側に網膜下出血を認め,網膜色素上皮の変性も中心窩を含んで広汎に認める.矯正視力は0.2.b:IA(17分).複数のポリープ状過蛍光を認め,その黄斑部側には淡いplaque様過蛍光を認める(異常血管網).c:OCT(水平断).ポリープは網膜色素上皮の急峻な立ち上がりを示し(矢印),異常血管網の部(※印)は不整な網膜色素上皮の隆起によりdoublelayersignを示している.この症例では脈絡膜の中大血管がやや太く拡張し脈絡膜厚も厚くなっている.1786あたらしい眼科Vol.31,No.12,2014(48)る.実際,明確にstage1とstage2の初期とを区別するのはむずかしいことが多い.さらに進行すると網膜色素上皮.離を生じるようになり,OCTでは網膜色素上皮のラインの一部に瘤状に盛り上がった箇所(bumpsign)を認めることもある(図11).Stage3になると,網膜色素上皮.離の頂部に網膜色素上皮の断裂を認め,この部を通して網膜内新生血管が網膜色素上皮.離内に伸展していることを示す反射をOCTで観察することができる(図12).おわりにAMDのOCT所見を,「加齢黄斑変性の分類:2008」に基づいて病型ごとに簡潔に述べた.Spectraldomain(SD)OCTの登場によりって解像度が飛躍的に向上し,AMDの病態を考えるうえで重要な網膜色素上皮層と,その上下の視細胞層や脈絡毛細管板,脈絡膜の観察を詳abcd※図9滲出型加齢黄斑変性の随伴所見(PCVの症例)a:眼底写真.中心窩やや耳側に網膜下出血を伴う灰白色病巣を認める.矯正視力は0.7.b:FA後期(6分).灰白色病巣に一致して旺盛な蛍光漏出を伴う過蛍光を示した.c:IA中期(8分).FAで過蛍光を示した部位は,ポリープ状の強い円形過蛍光を認めた.d:OCT(水平断).灰白色病巣の部には,内部が中等度反射を示す網膜色素上皮の隆起病巣を認め(矢印),その上部に均一な高反射を認めた(フィブリン:太矢印).中心窩下には漿液性網膜.離を認める(※印).この症例のように一見Type2CNVのAMDにみえる症例でもOCTからPCVであることを確認できることがある14).abdc※図10網膜血管腫状増殖(RAP:stage1)a:眼底写真.後極部に多数の軟性ドルーゼンを認め,中心窩の鼻側に網膜表層出血を認める.b:FA後期(7分).軟性ドルーゼンは過蛍光を示し,網膜表層出血の低蛍光部の上側にやや過蛍光を示している(矢印).c:IA晩期(19分).軟性ドルーゼンの部は低蛍光を示し,FAでみられた網膜表層出血の低蛍光部に円形の過蛍光を認める(hotspot.矢印).d:OCT(斜め断).多発するドルーゼンのために網膜色素上皮は不整に隆起しており,中心窩にはわずかに漿液性網膜.離を認める.IAでみられたhotspotの部は網膜内層に高反射塊として描出され,網膜内新生血管と考えられる(矢印).この高反射のすぐ鼻上側には網膜浮腫も認められる.abcd※図9滲出型加齢黄斑変性の随伴所見(PCVの症例)a:眼底写真.中心窩やや耳側に網膜下出血を伴う灰白色病巣を認める.矯正視力は0.7.b:FA後期(6分).灰白色病巣に一致して旺盛な蛍光漏出を伴う過蛍光を示した.c:IA中期(8分).FAで過蛍光を示した部位は,ポリープ状の強い円形過蛍光を認めた.d:OCT(水平断).灰白色病巣の部には,内部が中等度反射を示す網膜色素上皮の隆起病巣を認め(矢印),その上部に均一な高反射を認めた(フィブリン:太矢印).中心窩下には漿液性網膜.離を認める(※印).この症例のように一見Type2CNVのAMDにみえる症例でもOCTからPCVであることを確認できることがある14).abdc※図10網膜血管腫状増殖(RAP:stage1)a:眼底写真.後極部に多数の軟性ドルーゼンを認め,中心窩の鼻側に網膜表層出血を認める.b:FA後期(7分).軟性ドルーゼンは過蛍光を示し,網膜表層出血の低蛍光部の上側にやや過蛍光を示している(矢印).c:IA晩期(19分).軟性ドルーゼンの部は低蛍光を示し,FAでみられた網膜表層出血の低蛍光部に円形の過蛍光を認める(hotspot.矢印).d:OCT(斜め断).多発するドルーゼンのために網膜色素上皮は不整に隆起しており,中心窩にはわずかに漿液性網膜.離を認める.IAでみられたhotspotの部は網膜内層に高反射塊として描出され,網膜内新生血管と考えられる(矢印).この高反射のすぐ鼻上側には網膜浮腫も認められる.あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141787(49)abefdc図11網膜内血管腫状増殖(RAP:stage2)a:眼底写真.黄斑部に漿液性網膜色素上皮.離を認め,傍中心窩に網膜表層出血を認める.矯正視力は0.4.b:FA後期(7分).網膜色素上皮.離の過蛍光の中に,点状の強い過蛍光を複数認める.c:IA早期(17秒).網膜色素上皮.離は低蛍光を示し,その中に網膜血管から流入する過蛍光点を認める(矢印).d:IA晩期(22分).IA早期にみられた過蛍光点の蛍光が強くなり,瘤状過蛍光(hotspot)を呈する(矢印).e:OCT(水平断).大きな漿液性網膜色素上皮.離を認め,FA,IAで過蛍光を示した点に一致して高反射所見を認める.その周りには.胞浮腫も認める.f:OCT(斜め断).網膜内に高反射塊(網膜内新生血管:太矢印)を認め,瘤状に隆起した網膜色素上皮(bumpsign:白矢頭)と接している.新生血管の高反射の周りには.胞浮腫の低蛍光やhyperreflectivefociの点状過蛍光(矢印)も認める.abcde※図12網膜内血管腫状増殖(RAP:stage3)a:眼底写真.中心窩のやや鼻下側にフィブリンと思われる黄白色病巣を認め,網膜表層出血を伴っている.b:FA早期(30秒).網膜出血による低蛍光の上側に過蛍光点を認める(矢印).c:FA後期(5分40秒).早期にみられた過蛍光は増強し,その過蛍光点を含んで網膜色素上皮.離の範囲は過蛍光を示している.d:IA晩期(20分).FAで認めた過蛍光点の部がIAでも過蛍光を示している(hotspot:矢印).e:OCT(斜め断).網膜色素上皮.離の頂部に瘤状の隆起を認め(太矢印),網膜色素上皮の断裂がみられる(※印).網膜内および網膜色素上皮.離内に新生血管と思われる高反射(矢印)を認め,断裂部を通して吻合している.abefdc図11網膜内血管腫状増殖(RAP:stage2)a:眼底写真.黄斑部に漿液性網膜色素上皮.離を認め,傍中心窩に網膜表層出血を認める.矯正視力は0.4.b:FA後期(7分).網膜色素上皮.離の過蛍光の中に,点状の強い過蛍光を複数認める.c:IA早期(17秒).網膜色素上皮.離は低蛍光を示し,その中に網膜血管から流入する過蛍光点を認める(矢印).d:IA晩期(22分).IA早期にみられた過蛍光点の蛍光が強くなり,瘤状過蛍光(hotspot)を呈する(矢印).e:OCT(水平断).大きな漿液性網膜色素上皮.離を認め,FA,IAで過蛍光を示した点に一致して高反射所見を認める.その周りには.胞浮腫も認める.f:OCT(斜め断).網膜内に高反射塊(網膜内新生血管:太矢印)を認め,瘤状に隆起した網膜色素上皮(bumpsign:白矢頭)と接している.新生血管の高反射の周りには.胞浮腫の低蛍光やhyperreflectivefociの点状過蛍光(矢印)も認める.abcde※図12網膜内血管腫状増殖(RAP:stage3)a:眼底写真.中心窩のやや鼻下側にフィブリンと思われる黄白色病巣を認め,網膜表層出血を伴っている.b:FA早期(30秒).網膜出血による低蛍光の上側に過蛍光点を認める(矢印).c:FA後期(5分40秒).早期にみられた過蛍光は増強し,その過蛍光点を含んで網膜色素上皮.離の範囲は過蛍光を示している.d:IA晩期(20分).FAで認めた過蛍光点の部がIAでも過蛍光を示している(hotspot:矢印).e:OCT(斜め断).網膜色素上皮.離の頂部に瘤状の隆起を認め(太矢印),網膜色素上皮の断裂がみられる(※印).網膜内および網膜色素上皮.離内に新生血管と思われる高反射(矢印)を認め,断裂部を通して吻合している.-