新しい治療と検査シリーズ新しい治療と検査シリーズプレゼンテーション:小島隆司慶應義塾大学医学部眼科学教室コメント:山口昌彦愛媛大学大学院感覚機能医学講座視機能外科学分野(眼科学).バックグラウンド涙点プラグは安全で確実なドライアイ治療方法として中等度から重症ドライアイに対して広く用いられている.わが国で入手可能な涙点プラグは素材という観点から大きく分けて2種類ある.1つめが従来からあるシリコーン製の固形のプラグで,2つめが今回紹介する新しくわが国で開発されたコラーゲン製の液状プラグである.固形プラグは確実な涙点閉鎖を得ることができるのがメリットであるが,肉芽の形成,涙点の位置によってはプラグが角膜および結膜に擦れて上皮障害を起こしたり,異物感などの症状を起こすデメリットがある.また,サイズ選択が必要で,サイズ不適合により早期に脱落してしまったり,肉芽形成を起こしたりする可能性がある..新しい治療法従来までコラーゲンプラグは固形状で,棒状のプラグを鑷子で涙点に挿入していたが,挿入しにくく,また完全な涙小管閉塞が得られるか確証がなかった.これを克図1コラーゲン液状涙点プラグキープティアR(71)0910-1810/11/\100/頁/JCOPY服したのがわが国で開発された液状涙点プラグキープティアR(高研,東京)である(図1).これは3%アテロコラーゲンを成分とする液状涙点プラグである.キープティアRは体温で温められることによって白色のゲルとなり涙点,涙小管閉鎖を起こすとされている.治療の有効性は濱野らによって報告されている1)..実際の使用方法製品は温度の上昇によるゲル化を防ぐために冷蔵保存(2.10℃)が必要である.対象となる患者があれば,キープティアRの箱を冷蔵庫から出し,シリンジをプラスチックの容器からも出して15分ほど室温に置いてから注入用の27ゲージ鈍針を装着し注入する.1本300μlで2涙点分である.シリンジに半分の量の場所に目印がつけてあり,そこまでが1涙点分である.挿入手技は通水検査などと同じで容易である.処置ベッドで行うと患者が動きにくく行いやすいが,スリット下で行うことも可能である.挿入途中で片方の涙点からのキープティアRの流出があったり,挿入している涙点から逆流がある場合は1涙点分注入していなくてもその時点で注入をやめる.注入は基本的に上下涙点に対して行う.注入後はキープティアRの流出を避けるために閉瞼させホットアイマスクを装着して15分ほど待つ.その後患者に起きてもらって眼周囲に付着したコラーゲンゲルを取り除く.キープティアRを使用していると,思いのほか効果が短時間でなくなってしまう患者に遭遇する.また注入直後にもかかわらず涙液メニスカスが十分高くならない場合にも遭遇したため,筆者らはアテロコラーゲンが完全にゲル化するまでに流出してしまう可能性があることを考えた.そこでキープティアRをあらかじめ温めて(ゲル化させて)注入する方法(プレヒーティング法,2011年角膜カンファランス)を報告し,この方法を用いるとあたらしい眼科Vol.28,No.11,20111583通常の方法よりも持続効果が長続きし患者の自覚症状スコアもより改善することが示された.ただし,このキープティア通常の方法よりも持続効果が長続きし患者の自覚症状スコアもより改善することが示された.ただし,このキープティアに用いられているアテロコラーゲンは37℃付近でゲル化が始まり,それより温度が高くなり39℃を超えるとゲルの三次元構造が今度は崩壊しはじめて,また液状になってしまう.この変化は不可逆性であり,プレヒーティング法は温度が高くなりすぎると逆効果になってしまうので,行う際は十分注意が必要である..本治療の良い点液状涙点プラグによる治療の最大のメリットは肉芽形成,異物感がまったくない点である.またサイズ選択も必要ないため,さまざまなサイズを用意しておく必要がなく,開業医の先生にとっても使いやすいと思われる.一方,欠点としては,コラーゲンはその性質ゆえに時間とともに分解,流出してしまうために効果が一時的であることである.筆者らの印象では効果は1.2カ月ほどと考えている.このため,重症ドライアイを合併するSjogren症候群患者やGVHD(graft-versus-hotdisase)患者などには不向きである.一方,一時的な効果のプラグと考えて,冬場のドライアイの悪化に対して一時的に使用したり,LASIK(laserinsitukeratomileusis)術後ドライアイに対して使用するなどの方法がよいと思われる.また,コンタクトレンズ装用の際にドライアイ症状を訴える患者も良い適応である2).越智らはSchirmer試験が6mm以上の患者では自覚症状,涙液貯留量,角結膜染色スコアが改善したが5mm以下では改善しなかったと報告している3).このことよりキープティアRは軽度ドライアイに向くプラグであることがわかる.また,固形プラグには少し心理的に抵抗があって躊躇されているけれど,涙点プラグの効果があるかどうかを試したいというような患者にとっても良いプラグではないかと思われる.文献1)濱野孝,林邦彦,宮田和典ほか:アテロコラーゲンによる涙道閉鎖─涙液減少症69例における臨床試験.臨眼58:2289-2294,20042)濱野孝:ドライアイとコンタクトレンズ,特集コンタクトレンズ診療.眼科51:1765-1769,20093)越智理恵,白石敦,原祐子ほか:アテロコラーゲン液状プラグ(キープティアR)の治療効果とその適応.臨眼65:301-306,2011.本方法に対するコメント.コラーゲンプラグは,シリコーンプラグのデメリッである.ただ,筆者も本文で述べているように,プレトを補う反面,シリコーンプラグのように持続的な効ヒーティング法の精度を保つには,温度管理を慎重に果を期待できないのが現状である.液状プラグのキー行わなければならず,同手法の課題といえる.今後,プティアRは,注入の手順を遵守すれば,これまでのドライアイ罹患率はますます上昇すると予想され,涙コラーゲンプラグよりも持続的な効果が期待できる.点プラグ治療の適応も拡大していくものと思われる.筆者は,キープティアRの温度反応特性に着目し,プ液状プラグの安全性とシリコーンプラグの効果持続性レヒーティング法というユニークな手法を考案して,を兼ね備え,さらに簡便に行える,そんな理想的な涙注入直後からの固形化を図って効果を上げているよう点プラグの開発が待ち望まれる.☆☆☆1584あたらしい眼科Vol.28,No.11,2011(72)