0910-1810/11/\100/頁/JCOPYクエスチョンを明確化することである.テーマを「コンタクトレンズ装用は角膜内皮細胞数を減少させるのだろうか」「術前の抗菌剤点眼によって白内障術後眼内炎の発生率を減少させることができるだろうか」など1つの設問に書き出してみるとよい.テーマの設定にあたってはFINER(表1)の5つの要素を考慮する.FINERとはFeasible,Interesting,Novel,Ethical,Relevantの頭文字をとったものである.Feasibleは実施可能性のことであり,研究仮説を証明するのにどのくらいの症例数が必要か,どのくらいの時間がかかるか,アウトカムとして何を採るかなど研究の規模や期間と関わってくる.InterestingとRelevantは似ているが,テーマが興味深く,意義があるものかどうかもう一度,論文の読者になったつもりで考えるとよい.これはNovelとも関連しており,先行研究の有無をあらかじめ検索してその内容,どこまでわかっているのかを吟味しておくとよい.研究が倫理的な面(Ethical)で問題がないかは倫理審査委員会だけでなく,実施可能性にも大きく関係してくる.はじめに疫学というと保健衛生や医療行政のためのもので,一般臨床にあまり関係ないというイメージを持たれがちである.しかし,厚生労働省が定めている疫学研究に関する倫理指針,臨床研究に関する倫理指針をみると疫学研究の範囲がかなり広いことがわかる.眼科領域はもちろん多くの臨床医学の研究では臨床疫学の手法を用いており,臨床疫学は疫学の主要な一部分である.したがって,眼科の学会や学術雑誌で発表されるものの半分以上は疫学研究といってもよいであろう.近年,臨床研究においては患者・被験者の人権の尊重,個人情報・臨床情報の保護が厳密に求められるようになった.過去数年間のある疾患の臨床統計や手術成績をまとめるといったよくあるスタイルの研究においても学会や論文で公表するためには,研究計画書の作成と倫理審査委員会の承認が求められる時代になっている.ここでは臨床研究,疫学研究を始めるにあたっての基本的事項,研究テーマやデザインの設定,研究計画の立て方,遵守すべき事項などについて述べる.なかでも研究計画書の作成は重要度が高い.とりあえずという形で始めた臨床研究は途中で「この研究デザインでは仮説を証明できない」「あれも調べておけば良かった」ということになりやすいからである.I研究テーマを設定する最初の難関は,自分の行いたい研究テーマ,リサーチ(5)5*MasakazuYamada:国立病院機構東京医療センター感覚器センター・視覚研究部〔別刷請求先〕山田昌和:〒152-8902東京都目黒区東ヶ丘2-5-1国立病院機構東京医療センター感覚器センター・視覚研究部特集●世界の眼科の疫学研究のすべてあたらしい眼科28(1):5.10,2011臨床疫学研究の基本的事項FundamentalIssuesinClinicalEpidemiology山田昌和*表1研究テーマ設定のFINERF:Feasible実施可能であることI:Interesting興味深いことN:Novel新しいことE:Ethical倫理的に許容されることR:Relevant意義があること6あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(6)ンダム化比較試験として実際に行われた臨床研究であるが,こうした大規模な臨床研究を実施するのは容易ではない.ESCRSの研究では対照群の眼内炎発症率が0.29%とかなり高かったこともあり,有意差が明らかとなった時点で中止されたが,それでも約1万6千例がエントリーされている.同じ研究テーマを症例の割付けを行わないコホート研究のデザインで検討した臨床研究もいくつかあるが,これらでは数万例から20万例以上を対象としている.コホート研究や症例対照研究はランダム化比較試験よりもエビデンスレベルは低いとされるが,後ろ向き研究が可能というメリットもある.また,介入研究による割付けが困難な場合や割付けの倫理性が問題になる場合には観察研究を選択したほうがよいし,介入研究の場合には健康被害に対する補償を考慮する必要がある.補償については後述する.サンプルサイズを減らして研究の実施可能性を高めるためにはアウトカムの取り方を変えることも重要である.たとえば,ある眼圧降下剤の効果をみる場合に,眼圧が5mmHg以上下がったかどうか(2区分変数とよばれ,眼内炎の例も2区分変数である)をアウトカムとするよりも,投与前後の眼圧をアウトカム(連続変数)としたほうがサンプルサイズを小さくできるし,場合によってはサンプル比(介入群と対照群の比)を変えると実施可能性が高くなることがある.もう1つの戦略は,より頻度の高いアウトカムを用いることである.術後眼内炎の例では,手術終了時に前房水や結膜.ぬぐい液を採取して細菌培養検査に供し,その陽性率をアウトカムとする方法が考えられる.前房水から細菌が検出されることと眼内炎が発症することはイコールではなく,このようなアウトカムは代替アウトカムとよばれる.エビデンスレベルは低くなるが,限られた症例数で結果を出しやすいというメリットがある.以上のようにPECO(PICO)を基にして研究デザインを考えることで,研究計画が固まっていくことになる.この部分は重要であり,研究グループの規模,研究資金なども考慮して実施可能性が高く,しかも研究仮説を実証できるようなデザインを選択する必要がある.II研究デザインの設定研究計画を立てていくうえで,PECOもしくはPICO(表2)を明確化していくことは臨床研究を行ううえでの基本となる.PECOを書き出して,実施可能性や倫理性など前述のFINERを勘案しながら,研究デザインを設定していく.対象を一般住民とするのか,受療患者とするのか,曝露や介入を能動的に行うのか否か,対象の比較となるコントロールをどうとるか,アウトカムとして何を用いるのか,この4点で研究デザインが大きく変わってくる.一般には住民ベースの臨床研究で能動的な介入を行うことは不可能に近いので,曝露や介入の影響は生活歴,既往歴などから検討される.受療患者を対象とした場合には介入研究が可能であるが,対象が一般人口を代表しないので罹患率や有病率を調べたいという場合には不向きである.例として「白内障術後眼内炎を眼内灌流液への抗菌剤添加によって減少させることができる」という研究仮説をもったとしよう.この場合,PECOのPは白内障手術患者になり,Eは手術時の眼内灌流液への抗菌剤添加,Cは白内障手術を受けるが眼内灌流液への抗菌剤添加をしない患者,Oのアウトカムは術後眼内炎の発症の有無ということになる.研究デザインとその実施可能性を考えるうえでは,サンプルサイズと割付けの有無(介入研究か観察研究か)が重要となる.サンプルサイズの問題を考えてみよう.術後眼内炎のような発生頻度の低い事象をアウトカムとする場合,治療群と対照群の差を出すためには非常に大きな組み入れ症例数が必要となる.仮に,対照の眼内炎発症率を0.1%,治療群の発症率を0.05%と見積もると必要症例数は8万例以上と計算される.眼内灌流液への抗菌剤添加の例はESCRSEndophthalmitisStudyGroupによりラ表2研究デザイン設定のPECO(PICO)P:Patient対象E(I):Exposure(Intervention)曝露(介入)C:Comparison比較対照O:Outcome結果・効果(7)あたらしい眼科Vol.28,No.1,20117クだけでなく,個人情報の漏洩,偏見・差別など心理社会的なリスクが含まれる.公正の原則は,研究に伴う恩恵とリスクに関して対象者間に不公正が生じないように配慮することである.こうした概念はヘルシンキ宣言に含まれている.わが国における倫理指針としては,疫学研究に関する倫理指針,臨床研究に関する倫理指針が代表であり,この他にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針,遺伝子治療臨床研究に関する指針,ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針などがある.指針の一覧と内容に関しては,厚労省HP(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/index.html)がわかりやすい.疫学研究,臨床研究に関する倫理指針の全文はhttp://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/37_139.pdfとhttp://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdfから入手できる.特殊な例を除くとほとんどの臨床研究は,疫学研究に関する倫理指針か臨床研究に関する倫理指針の適用を受ける.指針を遵守しなくとも法的に罰せられることはないが,公的研究費の応募資格が制限されることがある.また,倫理審査委員会で研究内容の承認を受ける際には指針の遵守が求められ,論文で研究内容を発表する場合にも倫理指針の遵守が求められるようになりつつある.厚労省の指針では,疫学研究は人の疾病の成因及び病態の解明並びに予防及び治療の方法の確立を目的とする科学研究とされ,その対象となる範囲は広い(表3).ある疾患について患者の診療情報を収集・集計し,解析する臨床研究,診断・治療などの医療行為について当該方法の有効性・安全性を評価するため診療録など診療情報を収集・集計して行う観察研究などはもちろんのこと,介入研究であっても介入の内容が医薬品でなく,食品(健康食品など)の場合には疫学研究指針の範囲となる.インフォームド・コンセントの形式に関して整理してみると,文書説明,文書同意が必要かどうかは,適用される指針の種類,介入研究か観察研究か,人体からの試料採取の有無,採取の侵襲性の4つから区分される(表4).いずれの場合でも拒否の自由が明記されていなければならない.これをみると観察研究の多くは必ずしも文書説明,文書同意が必要ではなく,研究情報公開(研究III研究計画書の作成研究テーマとデザインが決まったら,次に研究計画書を書くことで具体的に細部を詰めていく.研究を始める前に研究計画書の作成を行うことは,研究の目的,プロセス,意義を自分のなかでまとめていく良い機会となる.研究計画書は将来の論文のひな型になるので決して無駄にはならない.研究計画書では,研究の目的と背景,研究仮説(テーマ),研究デザイン,セッティング(研究・調査を行う場所),対象,観察項目とその測定方法,データの取得方法,データの管理方法,データの解析方法,倫理的事項などについて記載を行う.先行研究や類似の研究がある場合には,その対象と方法の項を参考にすることができる.学術論文は結果や考按,結論の部分がおもに読まれ,対象と方法の項目はざっと流し読みという場合が多いが,この場合は対象の取り方(選択基準や除外基準)や観察項目,データの取得方法,解析方法を読み込むことが必要となる.「批判的に」読むことがおそらく大切であり,先行研究をなぞって研究計画を立てるのではなく,先行研究の欠陥や見落としている点を吟味し,自らの研究計画に生かすという方針で行いたい.研究計画書のドラフトができたら,今度は逆に,共同研究者や同僚に自分の計画書を批判的に吟味してもらうとよい.このことは多施設共同研究など大規模な研究を始める場合には特に重要であり,自分の施設での常識は他の施設では非常識ということもある.本格的に研究を開始する前に,少数の施設でパイロット研究を行って,研究の実施に問題がないかどうか確認し,修正点を洗い出すのも良い方法である.IV倫理的事項とインフォームド・コンセント医学研究における倫理の一般原則には,人権尊重,最善,公正の3つがあげられる.人権尊重の原則には,インフォームド・コンセントを得ること,判断能力が損なわれた人を守ること,個人の秘密を守ることが含まれる.最善の原則は,対象者のリスクに見合うだけの価値ある成果が得られるように最大の努力を払うことである.この場合のリスクには検査や治療に伴う身体的リス8あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(8)除された組織(角膜移植時の摘出角膜や線維柱帯切除術での虹彩・隅角組織など)は採取に侵襲性なしと判断される.以前の手術時に得られた病理標本を用いて新たな研究を行おうという場合など,臨床研究開始前に得られた既存の試料を用いる研究は少なくない.この場合には被験者の同意を得るのが原則であるが,古い試料で被験者の所在が不明,死亡などの事情により同意を得ることが困難な場合もある.このような場合には,試料が匿名化さ機関のHPや院内掲示板での告知)で良い場合も少なくない.表4の人体採取検体の定義はむずかしく,たとえば感染性角膜炎から分離された微生物だけを扱う研究では人体からの試料とみなされないが,症例の臨床情報と結びつける場合(実際上はほとんどこちらに該当する)には人体採取検体として扱うことになる.採取の侵襲性に関しては,採血は侵襲性あり,尿や便は侵襲性なしに分類するとされている.なお,手術中に治療を目的として切表3疫学研究指針と臨床研究指針の適用範囲疫学研究指針の範囲臨床研究指針の範囲対象となる研究の概念原則として,自ら異なる事象を作り出すのではなく,存在する異なる事象を分類し,比較する研究が対象.〔例:実際に異なる治療(治療薬を含む)が行われている被験者などを対象として,複数の群に分けて評価を行う研究.〕主として,能動的に人体に働きかけ,その効果を比較する研究であって,異なる事象(投薬群と非投薬群など)を作り出す研究が対象.〔例:当該研究の目的のために,被験者に能動的医療介入(治療など)を行う研究.〕治療等の医療行為の有無能動的に医療介入(採血などのサンプリングに係る医療行為は除く)の効果を評価する研究は対象外.主として,能動的に医療介入の効果を評価する研究が対象.注意点医療介入(治療)以外の能動的な人体への働きかけ(食品摂取比較など)を行い,その効果を比較する研究は疫学研究.表4疫学研究指針と臨床研究指針におけるインフォームド・コンセント要件疫学研究指針検体その他インフォームド・コンセント要件介入研究(群間比較研究)人体採取検体あり採取に侵襲性あり文書説明,文書同意採取に侵襲性なし説明,同意の記録人体採取検体なし個人単位の研究説明,同意の記録集団単位の研究IC不要,研究情報公開,拒否機会付与観察研究(介入研究以外)人体採取検体あり採取に侵襲性あり文書説明,文書同意採取に侵襲性なし説明,同意の記録人体採取検体なし既存資料以外の情報を用いるIC不要,研究情報公開,拒否機会付与既存資料のみを用いるIC不要,研究情報公開臨床研究指針検体その他インフォームド・コンセント要件介入研究(能動的医療介入研究)文書説明,文書同意観察研究(介入研究以外)人体採取検体あり採取に侵襲性あり文書説明,文書同意採取に侵襲性なし説明,同意の記録人体採取検体なしIC不要,研究情報公開(9)あたらしい眼科Vol.28,No.1,20119に関しては,研究者,保険会社のいずれもが手探りという状態であり,倫理審査委員会での扱いも施設による幅が大きいようである.現実的な対応として,少なくとも研究計画書や同意説明文書に補償に係る方針や金銭的事項について明記することが推奨される.研究の内容やリスクに応じて「健康被害が生じた場合には回復のために必要な治療などの措置を速やかに講ずるが,通常の健康保険を適用し,自己負担分は患者に負担してもらう」「健康被害が生じた場合の補償はしない」といった内容でもよく,倫理審査委員会の判断を仰ぐことになる.なお,介入研究でも医薬品・医療機器を用いない研究(たとえば介入内容が食事指導である場合など)や観察研究では補償のための措置,補償保険への加入は必要ないが,補償の有無の説明は必要とされており,説明文書に明記しておくとよい.臨床研究の倫理指針によれば,臨床研究に関連する重篤な有害事象,不具合が発生した場合には,研究責任者は必要な措置を講じるとともに臨床研究機関の長に報告する義務がある.臨床研究機関の長は,倫理審査委員会等に報告し,多施設共同研究の場合には共同臨床研究機関への周知などを行わなければならない.有害事象が予期しない重篤なものの場合には厚労省への報告も必要となる.最近話題となったがんペプチドワクチンの臨床研究では,この部分が問題とされている.VII研究計画の事前登録臨床研究に関する倫理指針には「侵襲性を有する介入研究では,予め公開データベースに臨床研究計画を登録しなければならない」という項もある.出版バイアス(ネガティブデータは論文として公表されにくい傾向がある)を防ぐための措置であり,すでに欧米の一流学術雑誌では研究計画の事前登録が求められている.日本では3つの登録サイトがあり,UMINの臨床試験登録システム(http://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm),日本医薬情報センターの臨床試験情報(http://www.clinicaltrials.jp/user/cte_main.jsp),日本医師会臨床試験登録システム(https://dbcentre3.jmacct.med.or.jp/jmactr/)のいずれかを用いることになる.れているか,同意がなされているかによって多少の手続きの違いはあるが,倫理審査委員会と研究機関の長の承認が得られれば,研究を行うことができる.V倫理審査委員会研究計画書が整ったら,説明文書,同意文書など各種の書類を添付して倫理審査委員会の承認を得る必要がある.臨床研究の倫理指針には,「当該臨床研究機関の長が設置した倫理審査委員会以外の倫理審査委員会に審議を依頼することが出来る」という文章があるが,基本的には自施設の倫理審査委員会の承認が原則である.ただし,多施設共同研究の場合には主施設の倫理審査委員会で承認されれば,他の施設では無審査で承認または迅速審査に付される可能性がある.倫理審査委員会が設置されていない病院やクリニックで臨床研究を行う場合にはこのような外部付託の仕組みを活用して外部機関に審査を付託していく必要がありそうである.VI健康被害に対する対応介入研究を行う場合に問題になる点の1つが,臨床研究に関する倫理指針にある「医薬品・医療機器を用いた介入研究では,健康被害に対する補償のための保険その他の必要な措置を講じなければならない」という項である.補償は賠償とは異なり,「過失の有無とは関係なく,有害事象に対する救済措置を行う」という概念である.さらにここでの有害事象とは「医療介入がなされた際に起こる,あらゆる好ましくない,あるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む),症状,または病気のことであり,当該医療介入との因果関係の有無は問わない」と定義されている.素直に読むと,因果関係がなく過失のない健康被害についても臨床研究にエントリーされている限り,研究者に補償の義務があることになる.臨床研究の補償保険は,東京海上日動,日本興亜損害保険,損害保険ジャパンなど数社が取り扱っているが,このような補償の概念のもとでは介入を伴う臨床研究の実施が困難となる懸念がある.ただし,抗がん剤や免疫抑制剤など重篤な副作用が高頻度で発現することが予想される場合には補償保険の必要はなく,医療費,医療手当などの手段で補完してもよいとされている.補償保険10あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(10)参考になる書籍1)SackettD,RichardsonW,RosenbergW,HaynesRB:根拠に基づく医療,EBMの実践と教育の方法(久繁哲徳監訳),オーシーシージャパン,東京,19992)FletcherR,FletcherSW:臨床疫学,EBM実践のための必須知識.第2版(福井次矢監訳),メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,20063)HulleySB,CummingsSR,BrownerWSetal:医学的研究のデザイン,質を高める疫学的アプローチ.第2版(木原雅子,木原正博訳),メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,20044)福原俊一:リサーチクエスチョンの作り方,診療上の疑問を研究可能な形に.NPO法人健康医療評価研究機構,京都,20085)山口拓洋:サンプルサイズの設計.NPO法人健康医療評価研究機構,京都,2010おわりに疫学研究,臨床研究を始めるまでのステップ,要点について概説した.実際に研究を始めてみると予期しない問題が生じることもあり,完全な研究計画を事前に立てることはむずかしいと実感することも多い.最終的に研究の成果が得られるまでには,研究の実施,データ処理やクリーニング,解析などまだまだいくつものステップがある.これらを一つひとつクリアしていくことが臨床研究ということになる.本稿が疫学研究,臨床研究を始めるうえで多少でも参考になれば幸いである.